SABAすたいる

スイスのくらし、旅のエッセイ、日々のできごと、おもうこと。

大蛇ボアの話が、できるおとなに。

ごく親しい人たちとの集まりは別として、いわゆる社交というものが、あまり得意ではない。

が、得意だろうが苦手だろうが、年末年始の社交シーズンとなると、重い腰を上げねばならぬのが大人、というものである。

先日も、でかけていった集まりで、六年ぶりに知り合いの息子さんに再会したのだが、すっかり大人になってしまっていて、がっかりした。

スポーツとか、政治とか、経済とか、歴史とかについて、いっぱしの大人みたいに話せるよう、りっぱに成長をとげていたからだ。

六年前は中一だったのが、いまや経済学専攻の大学生なのだから、当然といえば当然の変化なのであって、本来がっかりすることではないのだけれども。

そんなことは重々承知の上で、

「すっかり大人になっちゃって」

わたしは、心底がっかりした。

中一のときには、裸まつりの話とか、アニメのヒーローの話とか、わたしの恰好の話し相手になってくれたのに。

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ハイテク切手と、クリスマス。

クリスマスカードを出そうとしたら、案のじょう、買いおきしてあるはずの切手が、どこにもみあたらない。

なんだか、毎年、おなじことを繰りかえしているような気がするのは、思いすごしだろうか?

それはともかく。。

クリスマス直前の郵便局なんて、大混雑にちがいなく、想像するだけで気がめいる。

なんとか回避する方法はないものか、ちょっと調べてみたところ、なんと、SMSで切手が買えるのだ。

まず、STAMPというメッセージを、SMSでスイス郵便に送る。

すると、数字とアルファベットのコードが送られてくる。

そのコードを、手書きで封筒に書くと、それが切手になるというしくみ。

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(PHOTO by SWISS POST)

電子チケットに、セルフレジ、世の中はますます便利になるばかりだけど、ついにSMS切手かぁ。

ちょっと感動してしまった。

感動しておきながら、けっきょく「クリスマスカードだから、きれいな絵柄の切手がいい」といいはる夫におしきられ、郵便局の長蛇の列にならぶことにはなったのだけれど。

技術の、世の中の進歩には、目をみはるばかりである。

そのぶん、世の中がどんどん味気なくなっていく気もするのだが「非効率で、ローテクで、不便だけど、気持ちを豊かにしてくれるもの」は、なかなか簡単には消えてなくならないのだろう。

夫のようなひとがいるかぎり。

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「バスチヨン公園には、もう行った?」

 十二月にはいってからというもの、会う人、会う人にきかれた、話題のクリスマスマーケット。

クリスマスカードをぶじ投函したその足で、のぞいてみた。

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ホットワインや、ソーセージ、伝統的なクリスマス菓子を売る屋台に混じって、手工芸品を売る小屋がならぶとおりを歩くと、暗くなりはじめた空に、やさしいオレンジ色の灯りの連なりが、ぼぉっと浮かぶ。

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サンタクロースに、プレゼントのお願いをするこどもたちや、特設のシャレーでチーズフォンデュを楽しむひとたち。ちいさなスケートリンクでスケートをする家族連れやカップルを、ただただながめて歩くだけ。

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何を買うでもなく、さがすでもなく、目的もなくぶらぶらするだけ。

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「クリスマスマーケットといえば!」の伝統菓子MAGEN BROT(胃袋パン、という変な名前の、かりんとうみたいなお菓子)をかじりながら、通りをいったりきたりするだけ。

それだけだったけれど、幸せなきもちになった。

そして、おもったのだった。

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世の中がどんなに便利で、効率的で、ハイテクになったとしても、クリスマスは消えてなくならないだろう、と。

f:id:sababienne:20181224232742j:plainメリークリスマス!

93才のバースデー・ブランチ

義母が、93才になった。

誕生日には、家族みんなであつまって、お祝いするのが恒例なのだが、それをだれが企画するのかといえば、義母がみずから仕切るのである。

それこそもう、場所選びから出欠とりにいたるまで、いっさいがっさい。

ことしはちょっと趣向をかえて、サンデー・ブランチにしたという義母。

「ちょっとおもしろいレストランだから、きっと気に入るわよ」

前日、家を訪ねると、きていく服を思案しているところだった。

黒のセンタープレスのズボンか、茶のコーデュロイか?

すでに決めてあるというトップスの、黒いシルクのセーターをみて「黒のほうがエレガントだね」と夫がいうと、とたんに義母の思案顔が、ぱぁっと明るんで笑顔になる。

「それじゃ、黒に決めた」

おでかけするのに何を着て行こうか、あれこれ悩むのは楽しい。

「どうしよう!着ていくものがない」

クローゼットの前でつぶやく女は、困っているようにみえて、幸福なのだ。

そしてそれをはたで見ているのも、また楽しい。

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