SABAすたいる

スイスのくらし、旅のエッセイ、日々のできごと、おもうこと。

金を、継いで。

日本には、KINTSUGIというすばらしい習慣があるのですね。

そういってわざわざ国際電話をくれたのは、シドニーに住むオーストラリア人のNさんである。

KINTSUGI?

さびついた脳内ローマ字日本語変換は、なかなか変換候補をみつけてくれない。

あ。

金継ぎ、か。

やっと漢字がでてきたはいいけれど、そもそもなじみのある言葉ではないのである。

おぼろげな記憶をひっぱりだし、受けこたえるのがせいいっぱいで、このときは、Nさんのほとばしる感動を、きちんと受けとめるにはいたらなかったようにおもう。

けれど、おもえばこの一本の電話が、わたしの金継ぎをめぐる旅(のようなもの)のプロローグだったのである。

続きを読む

アントネッラさんの、路地裏オステリア。ヴェネツィア、つかの間アパート暮らし

夏の終わりのヴェネツィアは、アメリカ人観光客だらけ。

経済的に幅を利かせていいはずのアジア系や、地理的に有利なはずのヨーロッパ系は、いったいどこ?

そう首をかしげたくなるほど、聞こえてくるのはアメリカ英語ばかりである。

アメリカ英語が苦手なので、ストレスセンサーが過剰反応してるだけかもしれない。

それとも、アメリカ人の声が世界標準よりデカいだけなのかもしれない。

理由はともかく。。

今日こそは、アメリカ英語が聞こえてこない、しずかな場所で食事がしたい!

その一心で、行き当たりばったり路地に入ってみつけたのが、アントネッラさんのオステリアである。

f:id:sababienne:20170917023726j:plain

Photo by http:// www.scattidigusto.it

続きを読む

救いがたき女たちの通り。ヴェネツィア、つかの間アパート暮らし

アサリのだしと、青々しいフレッシュな香りのオリーブオイルが、たっぷりからまったモチモチの手打ちパスタ。

スパゲッティ・ボンゴレを口に運びながらわたしは、いつになく、ふかーく、心から、夫に感謝しているところである。

f:id:sababienne:20170917015901j:plain

ジュデッカ運河をのぞむ、ザッテレ河岸のレストラン。

カナル・グランデやサンマルコ広場からすこし外れ、アカデミア美術館やグッゲンハイム美術館の先にあるこのエリアには、ヴェネツィアにあっては貴重な、ちょっと落ち着いた空気がながれている。

f:id:sababienne:20170917021708j:plain

だいすきな須賀敦子さんのお気に入りの場所で、しばしばエッセイに登場するザッテレ。エッセイを読みながら「いつか訪れてみたい」とずっとおもっていた場所なのだ。

続きを読む