SABAすたいる

スイスのくらし、旅のエッセイ、日々のできごと、おもうこと。

身におぼえ、あってもなくても。

「マダムsabaは、ご在宅でしょうか?」

朝8時きっかりにかかってきた、一本の電話。

”深夜早朝の電話に、よいしらせなし”とはいうけれど、まさにそれは、借金とりからの電話でした。

「12月にご利用の、60フラン(約七千円)のお支払いが、おすみでないようですが」

身におぼえがあるか?

といわれれば、これが大ありなのです。

延滞利息が加算され、支払額がなんと三倍になった督促状を、すでに受けとっていたのですから。

高利貸しもびっくりの、利息にぎょうてんしたのはもちろん。なによりも開いた口がふさがらなかったこと。それは、督促をうけるのが、これがはじめてではなく、2度目でもなく、じつに3度目であるということでした。

それも、督促前に、きちんと支払っているにもかかわらず、です。

eバンキングの記録も、まぎれもなく「支払い済み」になっています。振込先、振込元ともにおなじ銀行どうし。すでに2度、証拠書類を送付して、2度とも一件落着したはずの件なのです。

いったい何をどうこんがらがれば、こーなるの?

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クスクスを、ボナペティ。

レラは、わたしの「クスクスの先生」だ。

はじめて会ったとき。

レラがモロッコ出身ときいて、わたしが「クスクスが大好きだ」と猛アピールしたのが、そもそものことのはじまりだ。

ほどなくして、クスクス鍋と、オリーブの木鉢と、おタマと、スパイスをかついで、ウチにきてくれたレラ。

そのレシピと人がらに、すっかりハートをわしづかみにされてしまったわたしが、勝手に弟子入り宣言するかっこうで、結ばれた「師匠と弟子」のちぎりなのである。

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不定期開講の「レラのクスクス学校」。

生徒はわたしひとりなのだけど、試食係のともだちを集めては、いっしょにクスクスをつくるのを、わたしはとても楽しみにしている。

基本のレシピは、丸どりと羊肉、香味野菜、スパイスをオリーブ油でソテーしたら、トマトと野菜の水分でコトコト煮込むだけ。

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クスクスは、専用の蒸し器で蒸して、レーズンとシナモンをスープで煮詰めた「甘いソース」と、青唐辛子を煮詰めた「辛いソース」を好みでかけて食べる。

丸どりを途中でとりだして、オーブンでこんがり焼き目をつけるのがレラ流だ。

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バカンス上手な彼女

仕事がえりのアリアンヌが、その水仙をとどけてくれたのは、三寒四温の「寒」の日暮れどき。

つめたい風がぴゅうぴゅう吹くなか、水仙をカゴにつっこみ、お仕事バッグをたすき掛けにした姿もいさましく、自転車をこいできてくれた。

ぐるぐる巻きにした毛糸のマフラーに、うずめたほっぺを真っ赤に染めて。

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仕事あがりの、夕ごはん前といえば、ワーキングマザーにとってもっともあわただしい時間帯。

どうかな、と一瞬ちゅうちょしたのだけど、

「お茶でもどう?」

つるりと口をついてでてきたのは、ビズしたときの彼女のほっぺが、あんまり冷たかったからだ。

「もちろん!」

ひょうしぬけするほどの即答に、もたもたする私をおいて、彼女はすでにマフラーをはずし、すたすた階段をのぼっていく。

あわてて彼女のあとを追いながら、そうだった、とおもいだしたのだ。

この国では「どうかな」なんてちゅうちょなど、必要なかったことを。

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