くららの手帖

ローヌの岸辺暮らし、ときどき旅

金を、継いで。

日本には、KINTSUGIというすばらしい習慣があるのですね。

そういってわざわざ国際電話をくれたのは、シドニーに住むオーストラリア人のNさんである。

KINTSUGI?

さびついた脳内ローマ字日本語変換は、なかなか変換候補をみつけてくれない。

あ。

金継ぎ、か。

やっと漢字がでてきたはいいけれど、そもそもなじみのある言葉ではないのである。

おぼろげな記憶をひっぱりだし、受けこたえるのがせいいっぱいで、このときは、Nさんのほとばしる感動を、きちんと受けとめるにはいたらなかったようにおもう。

けれど、おもえばこの一本の電話が、わたしの金継ぎをめぐる旅(のようなもの)のプロローグだったのである。

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