SABAすたいる

スイスのくらし、旅のエッセイ、日々のできごと、おもうこと。

雲の上の、常連カフェ。スキーバカンス@ サース・アルマゲル

ことしのジュネーブの冬は、晴れの日が多くて暖かくて、なんだか冬じゃないみたいな冬だった。 霧がたちこめ、何週間もどんより曇り空に閉じ込められる、あのジュネーブの灰色の冬がやってこなかった。 だから、毎年二月、三月ともなると、太陽と青い空に恋…

CAREにはじまり、CAREに終わる。ロンドン、ジュリアナズ・キッチンのアフタヌーンティ

ロンドン郊外。 地下鉄を、セントジョンズウッドの駅で降り、地図をたよりに道をたどっていくと、すぐにあたりは閑静な住宅街になる。 イギリスらしい、古くてかわいい家がならぶ通りを、行きつ戻りつしていると、屋根を修理中の職人さんが、ハシゴをおりて…

トキメキに、水さすモノ。:パリ、ジャポニスムひとり旅(2)

パリの食器屋で、おもちゃみたいなカフェオレボウルをみつけた。 両手のひらに、すっぽりおさまるサイズ感。乳白色の、つるんとしたかたち。手描きの水玉の、よくみるとわずかに輪郭がブレてるゆるさ。かすかに翳りが混じった、びみょうなトーンの赤とむらさ…

花より、クレープ:パリ、ジャポニスムひとり旅(1)

いけばなを習いはじめたのは、スイスに移り住んでまもなくのこと。 かれこれ6年になる。 じつは日本にいたころは、英国式のフラワーアレンジにハマっていた。 よくある話だけれど、海外にでてみてあらためて、和の文化に開眼したパターンだ。 でも、それも…

大蛇ボアの話が、できるおとなに。

ごく親しい人たちとの集まりは別として、いわゆる社交というものが、あまり得意ではない。 が、得意だろうが苦手だろうが、年末年始の社交シーズンとなると、重い腰を上げねばならぬのが大人、というものである。 先日も、でかけていった集まりで、六年ぶり…

ハイテク切手と、クリスマス。

クリスマスカードを出そうとしたら、案のじょう、買いおきしてあるはずの切手が、どこにもみあたらない。 なんだか、毎年、おなじことを繰りかえしているような気がするのは、思いすごしだろうか? それはともかく。。 クリスマス直前の郵便局なんて、大混雑…

93才のバースデー・ブランチ

義母が、93才になった。 誕生日には、家族みんなであつまって、お祝いするのが恒例なのだが、それをだれが企画するのかといえば、義母がみずから仕切るのである。 それこそもう、場所選びから出欠とりにいたるまで、いっさいがっさい。 ことしはちょっと趣向…

オトコたちの失言

午後から吹きはじめた北からの風が、街じゅうを黄金色にかがやかせていた、葉っぱの雨を降らせている。 はらり、くるり、ひらり。 葉っぱは、ワルツを踊るみたいに、弧をいくつも描きながら宙を舞って、さいごにフワリと着地する。 かさり、こそり、ぱさり。…

上を向いて歩こう ♪:永住権をいただきに、ニューヨーク(4)

「上ばっかりみて歩いて、穴に落っこちないように」 わたしがニューヨークに行く、というと、母はそういった。 そういわれて、10才ぐらいのとき、母と妹と三人で、はとバスに乗ったことを思い出した。 あれは、新宿の副都心、だったとおもう。 ビルをみあげ…

地に足つけて、家事を:永住権をいただきに、ニューヨーク(3)

ニューヨーク。 それは世界一、家事のアウトソーシングがすすんでいる場所だ。 メイドが雇えるようなお金持ちだけではなく、一般的なサラリーマンの家庭でも、外部のサービスを積極的に利用している。 たとえば、ごくごくふつうのサラリーマンであるstep son…

ドロータはどこ?:永住権をいただきに、ニューヨーク(2)

ニューヨークでは、step son(継息子)のPくんが、独身のときに住んでいたアパートに滞在している。 去年、PくんはフィアンセのMちゃんと家を買った。 だからかれこれ一年以上、このアパートには誰も住んでいないのだけど、Pくんは賃貸にもださず、そのまま…

みどり色のドレスをきた女の子:永住権をいただきに、ニューヨーク(1)

ワオ!おめでとう!ようこそアメリカへ! ちょっと芝居がかった、大げさな調子でそういうと、口ひげをたくわえたその入国審査官は、差し出したわたしの”移民ビザ”に、ポンッといきおいよく、スタンプをおしてくれた。 事務的なやりとりが、淡々と無表情にく…

ロンドン、お茶の時間

巨大なスカラベに、猫のミイラ。古代文字に、ギリシャのつぼ。トルコ石がびっしりちりばめられた魔除けのブローチ。 おもちゃ箱をひっくり返したような、古今東西のお宝の数々を、朝からぶっとおしで拝見していたせいか、頭の奥がズーンと重い。 どうやら、…

HOME

一滴の雨も降らない、かんかん照りが二週間ほどつづき、湖の花火大会が終わるころになると、こんどは夕立ちとかみなりが毎夕やってくる。 雨は、ひと夏ぶんの熱をはらんだ地面や、屋根や、木々や、空気や、人々の日焼けした肌に降り注ぐ。 一日、また一日と…

夏の終わりの、選手交代。

だしてあったクリーニングをとりにいった。 入り口で声をかけるとしばらくして、パステルカラーのシャツの森から顔をのぞかせたのは、いつものなじみの店員さんだった。 あ。 選手交代。 彼女のトースト色に日焼けした顔は、夏がおわり、街が「通常オペレー…

だれのものでもないわが道:フランスの、田舎で、週末を(4)

朝ごはんのあと、でかけた散歩の途中、「売り家」の札がかかった家をみつけた。 ひとの気配が消えて久しいのだろう。 そこだけ時間が止まってしまったような、しずかな空気を全身にまとって、その家はひっそりと佇んでいた。 「私たちの家も、ちょうどこの辺…

暮らしは、アートだ:フランスの、田舎で、週末を(3)

朝。 フランスの、田舎の、朝。 パンの焼ける匂いがして、目が覚めた。 石壁に閉ざされた部屋はうす暗く、気づかなかったのだけれど、太陽はとっくの昔に顔をだし、そとは陽の光にみちていた。 あわててとび起きて、洗面所で顔を洗う。水がキーンとつめたく…

バラ色の台所:フランスの、田舎で、週末を(2)

靴をみれば、性格がわかる 歯をみれば、育ちがわかる 手をみれば、女性の年齢がわかるのだとか。 そして、文章を読めば、人柄がわかるのだとも。 みせるつもりがなくても、人となりというものは、知らずにじみ出てしまうのだから、おそろしい。 台所も、その…

”Middle of Nowhere”からの招待状:フランスの、田舎で、週末を(1)

こんどの週末、田舎の家で、いっしょに過ごさない? フランス人の友人カップルから、招待状をうけとった。 フランスの、 田舎で、 週末を。 この言葉のひびきだけでもう、うっとり、とろけてしまいそうな私である。 ここ数日など、あんまり楽しみで、なんど…

ハトとワシ。

近所に住む、JさんとNさん夫婦のアパートに遊びにいった。 少女のようにかわいいNさんは、植物を育てる天才。 アパートは、いつ訪ねても草花がいきいきと繁茂し、E.T.をむかえにきたあの宇宙船のようである。 いっぽう、夫のJさんは、温厚な見た目からは想像…

あこがれの、熟練シュフ。

朝ごはんに、黄桃をきって食べた。 ちょっと甘みがとおかったけれど、シャキッとした歯ごたえとどうじに、甘酸っぱさが口いっぱいにひろがって、目が覚めるようだった。 夏。 スーパーマーケットに買い物にでかけるのが、ちょっと楽しくなる。 白いの、黄色…

マインドフルネス?

Home, sweet home!と夫。 あー、やっぱりウチがいちばん、とわたし。 旅から帰った、わが家の玄関でひたるこの幸福感。 もしかしたら、このしあわせを味わうために旅にでるのかも。 …なんて思いたくなるほど、トラベルはトラブルだらけだ。 遅れないよう、…

キャンドルの木

「キャンドルの木」と呼んでいる木があります。 枝のさきっぽから、円すい形の白い花が、空にむかっていっせいに咲くと、それはまるで、おおきな燭台にたてた、無数のキャンドルに、灯がともったようにみえるのです。 6年前のちょうどゴールデンウィークに…

身におぼえ、あってもなくても。

「マダムsabaは、ご在宅でしょうか?」 朝8時きっかりにかかってきた、一本の電話。 ”深夜早朝の電話に、よいしらせなし”とはいうけれど、まさにそれは、借金とりからの電話でした。 「12月にご利用の、60フラン(約七千円)のお支払いが、おすみでないよう…

クスクスを、ボナペティ。

レラは、わたしの「クスクスの先生」だ。 はじめて会ったとき。 レラがモロッコ出身ときいて、わたしが「クスクスが大好きだ」と猛アピールしたのが、そもそものことのはじまりだ。 ほどなくして、クスクス鍋と、オリーブの木鉢と、おタマと、スパイスをかつ…

バカンス上手な彼女

仕事がえりのアリアンヌが、その水仙をとどけてくれたのは、三寒四温の「寒」の日暮れどき。 つめたい風がぴゅうぴゅう吹くなか、水仙をカゴにつっこみ、お仕事バッグをたすき掛けにした姿もいさましく、自転車をこいできてくれた。 ぐるぐる巻きにした毛糸…

ホワイトデーのサプライズ?

世の中には、サプライズが好きなひともいれば、嫌いなひともいる。 すべての嗜好は、個人の自由だ、とおもう。 もんだいは、サプライズする人が「するか・しないか」を選べるのにたいし、される側にはまったく選択の余地が与えられていない、ということだ。 …

そのモチベーション。

おしりに火でもつかないかぎり、モチベーションを維持するのがむずかしい語学。 それでも日本にいたころは、おしりに火がつく機会がそこここにありました。 きゅうな海外出張、外国人のアテンド、英語のプレゼンテーション。 それがスイスで暮らすようになっ…

片思いのリモージュ

ひさびさに、恋に落ちてしまいました♩ 年にいちどの、カルージュのアンティークフェア。 ジュネーブに移り住んでから、ほぼ毎年のぞいているこの骨董市で、かならず立ちよるお店があります。 洗練されつつ、どこかあたたかみのある品々は、店主のカトリーヌ…

変人映画・愛。

変わってる人ですね、っていうのは、ほめ言葉じゃないかも。 そう気づいたのはもうだいぶいい大人になってからだ。 ユニークな人、とか、おもしろい人、とか。 いい意味が含まれている場合ももちろんあるけれど。 むしろ「こまった人ですね」とか「つきあい…