SABAすたいる

スイスのくらし、旅のエッセイ、日々のできごと、おもうこと。

スイスのくらし

クゥックゥーのマダムと、般若ちゃん。

数日前から歯が痛みはじめた。 とにかく、ちょっと歯ごたえのあるものを食べると痛みはじめるので、フワフワの甘い菓子パンしか食べられない。ここ最近はまるでハイジに出てくる、ペーターのおばあちゃんのような食生活をおくっている。 わたしには、変な寝…

朗読とバッハ、耳を澄ませば。

陶芸家のジョエルが、花器ばかりを集めたちいさな個展をひらくことになった。 ジョエルの工房には、毎年いけばな仲間と花器を作陶するワークショップでお世話になっている。 「それならば、花を生けて展示したらどう?」 ジョエルの友だちで、いけばなを教え…

100歳のブルーオニオン、渡されたバトン。

ジュネーブから車で10分足らずのサレーヴ山のふもと。 ちいさな教会と、カフェと個人商店が数軒、軒を連ねるだけのVeyrierは、フランス国境にちかい田舎町だ。 あるものと言えば、サレーヴ山に登るケーブルカーの乗り場だけど、この日わたしたちがここを訪れ…

雲の上の、常連カフェ。スキーバカンス@ サース・アルマゲル

ことしのジュネーブの冬は、晴れの日が多くて暖かくて、なんだか冬じゃないみたいな冬だった。 霧がたちこめ、何週間もどんより曇り空に閉じ込められる、あのジュネーブの灰色の冬がやってこなかった。 だから、毎年二月、三月ともなると、太陽と青い空に恋…

大蛇ボアの話が、できるおとなに。

ごく親しい人たちとの集まりは別として、いわゆる社交というものが、あまり得意ではない。 が、得意だろうが苦手だろうが、年末年始の社交シーズンとなると、重い腰を上げねばならぬのが大人、というものである。 先日も、でかけていった集まりで、六年ぶり…

ハイテク切手と、クリスマス。

クリスマスカードを出そうとしたら、案のじょう、買いおきしてあるはずの切手が、どこにもみあたらない。 なんだか、毎年、おなじことを繰りかえしているような気がするのは、思いすごしだろうか? それはともかく。。 クリスマス直前の郵便局なんて、大混雑…

93才のバースデー・ブランチ

義母が、93才になった。 誕生日には、家族みんなであつまって、お祝いするのが恒例なのだが、それをだれが企画するのかといえば、義母がみずから仕切るのである。 それこそもう、場所選びから出欠とりにいたるまで、いっさいがっさい。 ことしはちょっと趣向…

オトコたちの失言

午後から吹きはじめた北からの風が、街じゅうを黄金色にかがやかせていた、葉っぱの雨を降らせている。 はらり、くるり、ひらり。 葉っぱは、ワルツを踊るみたいに、弧をいくつも描きながら宙を舞って、さいごにフワリと着地する。 かさり、こそり、ぱさり。…

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一滴の雨も降らない、かんかん照りが二週間ほどつづき、湖の花火大会が終わるころになると、こんどは夕立ちとかみなりが毎夕やってくる。 雨は、ひと夏ぶんの熱をはらんだ地面や、屋根や、木々や、空気や、人々の日焼けした肌に降り注ぐ。 一日、また一日と…

夏の終わりの、選手交代。

だしてあったクリーニングをとりにいった。 入り口で声をかけるとしばらくして、パステルカラーのシャツの森から顔をのぞかせたのは、いつものなじみの店員さんだった。 あ。 選手交代。 彼女のトースト色に日焼けした顔は、夏がおわり、街が「通常オペレー…

だれのものでもないわが道:フランスの、田舎で、週末を(4)

朝ごはんのあと、でかけた散歩の途中、「売り家」の札がかかった家をみつけた。 ひとの気配が消えて久しいのだろう。 そこだけ時間が止まってしまったような、しずかな空気を全身にまとって、その家はひっそりと佇んでいた。 「私たちの家も、ちょうどこの辺…

暮らしは、アートだ:フランスの、田舎で、週末を(3)

朝。 フランスの、田舎の、朝。 パンの焼ける匂いがして、目が覚めた。 石壁に閉ざされた部屋はうす暗く、気づかなかったのだけれど、太陽はとっくの昔に顔をだし、そとは陽の光にみちていた。 あわててとび起きて、洗面所で顔を洗う。水がキーンとつめたく…

バラ色の台所:フランスの、田舎で、週末を(2)

靴をみれば、性格がわかる 歯をみれば、育ちがわかる 手をみれば、女性の年齢がわかるのだとか。 そして、文章を読めば、人柄がわかるのだとも。 みせるつもりがなくても、人となりというものは、知らずにじみ出てしまうのだから、おそろしい。 台所も、その…

”Middle of Nowhere”からの招待状:フランスの、田舎で、週末を(1)

こんどの週末、田舎の家で、いっしょに過ごさない? フランス人の友人カップルから、招待状をうけとった。 フランスの、 田舎で、 週末を。 この言葉のひびきだけでもう、うっとり、とろけてしまいそうな私である。 ここ数日など、あんまり楽しみで、なんど…

ハトとワシ。

近所に住む、JさんとNさん夫婦のアパートに遊びにいった。 少女のようにかわいいNさんは、植物を育てる天才。 アパートは、いつ訪ねても草花がいきいきと繁茂し、E.T.をむかえにきたあの宇宙船のようである。 いっぽう、夫のJさんは、温厚な見た目からは想像…

あこがれの、熟練シュフ。

朝ごはんに、黄桃をきって食べた。 ちょっと甘みがとおかったけれど、シャキッとした歯ごたえとどうじに、甘酸っぱさが口いっぱいにひろがって、目が覚めるようだった。 夏。 スーパーマーケットに買い物にでかけるのが、ちょっと楽しくなる。 白いの、黄色…

キャンドルの木

「キャンドルの木」と呼んでいる木があります。 枝のさきっぽから、円すい形の白い花が、空にむかっていっせいに咲くと、それはまるで、おおきな燭台にたてた、無数のキャンドルに、灯がともったようにみえるのです。 6年前のちょうどゴールデンウィークに…

身におぼえ、あってもなくても。

「マダムsabaは、ご在宅でしょうか?」 朝8時きっかりにかかってきた、一本の電話。 ”深夜早朝の電話に、よいしらせなし”とはいうけれど、まさにそれは、借金とりからの電話でした。 「12月にご利用の、60フラン(約七千円)のお支払いが、おすみでないよう…

クスクスを、ボナペティ。

レラは、わたしの「クスクスの先生」だ。 はじめて会ったとき。 レラがモロッコ出身ときいて、わたしが「クスクスが大好きだ」と猛アピールしたのが、そもそものことのはじまりだ。 ほどなくして、クスクス鍋と、オリーブの木鉢と、おタマと、スパイスをかつ…

バカンス上手な彼女

仕事がえりのアリアンヌが、その水仙をとどけてくれたのは、三寒四温の「寒」の日暮れどき。 つめたい風がぴゅうぴゅう吹くなか、水仙をカゴにつっこみ、お仕事バッグをたすき掛けにした姿もいさましく、自転車をこいできてくれた。 ぐるぐる巻きにした毛糸…

ホワイトデーのサプライズ?

世の中には、サプライズが好きなひともいれば、嫌いなひともいる。 すべての嗜好は、個人の自由だ、とおもう。 もんだいは、サプライズする人が「するか・しないか」を選べるのにたいし、される側にはまったく選択の余地が与えられていない、ということだ。 …

そのモチベーション。

おしりに火でもつかないかぎり、モチベーションを維持するのがむずかしい語学。 それでも日本にいたころは、おしりに火がつく機会がそこここにありました。 きゅうな海外出張、外国人のアテンド、英語のプレゼンテーション。 それがスイスで暮らすようになっ…

片思いのリモージュ

ひさびさに、恋に落ちてしまいました♩ 年にいちどの、カルージュのアンティークフェア。 ジュネーブに移り住んでから、ほぼ毎年のぞいているこの骨董市で、かならず立ちよるお店があります。 洗練されつつ、どこかあたたかみのある品々は、店主のカトリーヌ…

「unpretentious」で、いいね!

土よう日。 朝、台所にいってみると、食べ物がないことにきがついた。 ちょうど天気もよかったので、歩きがてら湖まで朝ごはんを食べに行こうということになった。 湖までは、ローヌ川沿いに歩いて3,000歩ぐらい。 (最近、一日一万歩をめざし、iphoneの万歩…

終のすみか、ではなく。

ドイツ人の友人夫妻ミハエルとサラが、「リタイア後の家を、ついに見つけた!」というニュースをもって、遊びにきてくれた。 ジュネーブには、かれこれ30年以上暮らしているふたり。 ミハエルが去年リタイアして、家を探しているとはつねづね聞いていたのだ…

エンドポリオチョコレート

ことし、わが家がクリスマスに用意したのは、「エンドポリオチョコレート」。 ひと箱購入すると、120人の子供がポリオのワクチンを接種することができる、というチャリティで、スイスのショコラティエ「レダラッハ」のチョコレートです。 https://www.endpol…

もみの木のブローチ

ふだん、アクセサリーもつけず、洋服もシンプルな飾り気のないものばかり、というIさんのセーターの胸もとに、そのブローチを見つけたのは、女ばかりで集まったクリスマス会でのことでした。 クリスマス会、といっても、ドレスコードは普段着。 教会の集会所…

ジコシュチョーに、胃もたれ。

ジュネーブの冬といえば「霧」。 アパートの下を流れるローヌ川も、冬の朝は、濃いミルク色をした霧のスープの底深くにしずんでしまいます。 町中がすっぽり冷蔵庫に入れられたみたいなこんな日は、きまって煮込み料理がたべたくなります。 などと思っていた…

義理のままはは。

まったく自覚はないが、いちおう私、ステップ・マザー(つまり、継母)なのである。 出会ったときには、とっくに成人していた、というのもあるし、遠くアメリカで暮らしているP君とSちゃんは、わたしなどよりよっぽどオトナで、しっかりしているからというの…

センス・オブ・ユーモア。チョコレート嚢腫の腹腔鏡手術〜海外の場合

ユーモアのちからって、すごい。 泣きたくなるような状況も、ぶつける先が見つからない怒りも、ちょっとした冗談で気持ちが楽になることってあります。 おもえば、職場のままならない人間関係も、仕事の壁も、プライベートな悩みも、ユーモアに救われたこと…