くららの手帖

ローヌの岸辺暮らし、ときどき旅

旅先で料理するたのしみ。京都町家で暮らす一ヶ月

借りている町家にはちいさなキッチンがついている。調味料などは揃えなければならなかったけれど、炊飯器や調理器具、食器はそろっているので、それなりに自炊ができる。ときどき自炊できる、というのはありがたい。旅先で美味しいものを食べ歩くのは楽しいが、連日となると胃もつかれるし、気も疲れる。家でごはんにしよう、という選択肢があるのはかなりうれしい。

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見たこともない地元の素材で新しいレシピに挑戦するのも楽しいし、普段食べなれたものをつくってほっとすることもできる。

スーパーで見かけてどうやって食べるんだろう?と思ったのは、わさび菜。

手始めにいつも作っているいわしの和風スパゲッティにいれてみたら、ほんのすこし苦味を感じるおとなっぽい味になった。

にんにくを炒めて香りをたて、刻んだわさび菜と椎茸、オイルサーディンを入れ塩こしょうする。これに茹でたスパゲッティを絡めて、レモンをしぼりパルミジャーノをかけるだけの簡単レシピ。

スイスで作るときはパセリなど西洋ハーブを使っているのを、わさび菜に変えてみただけなのだけど、京都風のひと皿になった気がする。

キッチンがあると、自宅のように人を招いてパーティということもできるのも楽しい。今回は京都ということで私にとっては、家族や友人との再会も楽しみのひとつ。

ご近所への配慮や賃貸の規則で、不特定多数の人を出入りさせたり、大騒ぎするのは禁じられているのだけど、それさえ気をつければもんだいない。春休み中の甥っ子たちをつれて妹家族が来てくれたり、両親や友人たちに来てもらって時間を気にせずゆっくりすることができるのはいいものだ。

甥っ子たちが来てくれたときありがたかったのは、この町家のロケーションだ。徒歩30秒とのころに、品揃えがばつぐんの酒屋さん、地元のひとに愛されているパン屋さん、本格的なドイツソーセージとお惣菜のお店がある。

子どもと大人がいっしょにたのしめるメニュー。シュークルート(ソーセージの盛り合わせとザワークラウト)をメインに、同じくソーセージ屋さんから調達したキッシュとパテ、パン屋さんの焼きたてバゲットに、コーンポタージュ、水菜のサラダ、ポテトサラダを作った。

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キッチンのとなりにお風呂があるのだけど、夕ごはんの準備をしているあいだに子供たちが順番にお風呂にはいったり、途中お酒が足りなくなってつっかけで酒屋さんに走ったり、なれない大鍋でスープやポテトサラダをつくるのはとても楽しかった。

普段は大人だけ二人のくらしだから、改めて子どもがいたりする大家族のお母さんって大変だなぁと思ったりして。。

旅先でキッチンにたつ、というのはなんだか不思議な感覚だ。それだけで、なんとなく「暮らしている」気もちになってくる。玄関のチャイムに包丁の手をとめて、宅配便のお兄さんに「ごくろうさま」なんて言ってるとほんと住人になったみたいで、うれしくなってしまう。

キッチンというのはやっぱり暮らしの要なのだな、としみじみ思うのだった。