くららの手帖

ローヌの岸辺暮らし、ときどき旅

祇園白川、丸山公園、ほろ酔い気分で夜桜見物。京都町家で暮らす一ヶ月

午後たっぷり昼寝したあと、おなかが空いて目が覚め、夕ごはんを食べにふたたび街に出た。先斗町をすこしぶらぶら歩いてすき焼き屋さんにはいった。

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時刻はちょうど午後7時。お花見シーズンをむかえた土曜日の夜である。予約なしで大丈夫かなぁと心配したのだけれど、お座敷じゃなければ1席あります、とテーブル席に案内していただけた。

 ほどよく刺しがはいったお肉は、とてもやわらかくてくさみもない。スイスの肉とは種類も調理方法も違うのでどちらがいい悪い、というのではないけれど、ひさしぶりの和牛はやっぱり美味しかった。

日本酒をたのんで、ゆっくりと先斗町を行き交う人々をながめながら、すき焼きをつつき、ほろ酔い気分になったところで、祇園白川の桜のライトアップをみにいくことにした。四条大橋のあたりから先は、思ったとおりものすごい人だった。

見上げると夜空に吸い込まれそうな桜。

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祇園白川の水面を覆うようにはりだした桜並木が、ぼうっとピンク色に染まり、川沿いの料理屋の明かりに照らされてなんだか色っぽい。

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そのまま、八坂神社を通り抜けて丸山公園に入ると、レジャーシートをひろげて宴会する人々や、緋毛氈をしいた茶店でお酒をのんだりする人たちでにぎわっていた。おでんややきそばの匂いがぷーんと漂ってくる。

かがり火や提灯、お店の灯りはぽっと優しくて、大勢のひとでにぎわっているのにしっとりと落ち着いた雰囲気が漂っている。

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和服姿のきれいなお母さんに連れられた、振袖姿の女の子ふたりが射的に興じていたり。わが家のリビングには昭和のはじめのお花見の様子を描いた版画があるのだけれど、その雰囲気そのまんまの光景が目の前にひろがっていた。

何十年も、もしかしたら百年以上前から、毎年おなじような光景がひろがっていたのかなぁと思うと、なんだか不思議な感じがする。

行き交うどの人の顔もとても幸せそうで、この上なく平和な空気がただよっていて、そんな中をほろ酔いでそぞろ歩くのはいい気分だった。人混みは苦手だけれど、大勢のひととこの雰囲気を共有しあえるかんじは悪くないなぁと思ったのだった。