ユーモアのちからって、すごい。
泣きたくなるような状況も、ぶつける先が見つからない怒りも、ちょっとした冗談で気持ちが楽になることってあります。
おもえば、職場のままならない人間関係も、仕事の壁も、プライベートな悩みも、ユーモアに救われたことが、いくたびあったことか。
先週、卵巣嚢腫の手術を受けました。
*手術を受けたスイスの病院
ずーっと抱えていたのを、タイミングを見計らっての手術なので、心も体も準備はできていたのですが、人生はじめての手術&入院です。
痛いのかな?
つらいのかな?
大丈夫かな?
ひとなみに怖がりなので、手術前は緊張して落ち着きませんでした。
海外の病院なので、日本のようなきめ細かな説明が一切ないままむかえた、手術前日の診察でのことです。
「じゃあ、明日ね!」
と、当日の食事の注意事項を受けたあと、執刀医から握手を求められました。
「え?それだけ?」
「持ち物は?」
というのも、同じ手術を受けた日本の方たちのブログを読んで、入院中、必要なものがたくさんある、と予習していたのです。
一瞬、きょとん、と不思議なかおをして先生。
「何も必要ないわ」
「必要なのは、あなたのカラダだけヨ」
そういって、私のお腹を指差し、メスで切り刻む手つきをして、ニッコリ。
背筋が凍りつきそうになったのですが、先生のこわーい冗談(?)で、なぜだか一気に気分が楽になったのでした。
おかげさまで、手術も無事終わり、経過も順調、いまは退院して日常生活にもどっています。
麻酔から覚めた時点で、点滴も、導尿カテーテルも、足のマッサージャーも外されていて、
- 術後3時間で、食事。
- 術後4時間で、歩いてトイレへ。
- 術後12時間で、シャワー。
- 術後48時間で、退院。
日本の方たちのブログでは、術前術後の絶飲食、術前の下剤&浣腸、術後の導尿カテーテル、点滴、マッサージャーで身動きがとれないこと、術後の痛みなどがつらかったという体験談が多かったのですが、そのすべてが無くて拍子抜け。
術前、念のため「浣腸も、下剤もナシですか?」と聞いたら「そんなにしたいのだったらしてもいいけど」と怪訝な顔をされました。
もちろんそんな趣味はありませんから、ね。
ちなみに、恥ずかしいと聞いていた剃毛も、電動シェーバーを渡され、自室でセルフサービス。
手術を待つあいだ、他の部屋からも、ちょっぴり不安げなシェーバーの音がときおり聞こえてきて。。。「手術を受ける仲間がたくさんいるのだなぁ」と妙に心づよく感じられたのでした。
調べてみたら、ヨーロッパは、患者の負担を減らすために「術後回復能力強化プログラム」というのがすでに標準になっているようなのです。
つまり私は、このプログラムを身をもって体験したわけですが、身体的苦痛はほぼゼロ。日本の方たちのブログを読むかぎり、私の術前術後は、ずいぶん楽だったのかな?というのが感想です。
ところで、退院の日。
「身ひとつ」で入院した私に、ひとつ問題が。
はいてきたパンツが小さい!
腹腔鏡のガスでぽっこりお腹になっている上に、ちょうどゴムが傷口に当たって痛いのです。
しかたなく、入院用に支給された使い捨てパンツ(ふわふわ素材でおへそまで隠れる特大サイズ)をそのままはいて帰ることにしたのですが。。
明日、どうしよう?
途中、スーパーに寄って探してみたのですが、特殊なパンツだけに見当たらず、途方に暮れてしまいました。
「ぼくのパンツをはけばいい」
ぽつりと夫。
夫の冗談は、いつもあんまり面白くありません。
まじめなときのほうが、笑えます。
傷口が痛い。。。
*入院中のごはんが、美味しかった♪
*デザートタイムまであり、至れりつくせり。