ふだん、アクセサリーもつけず、洋服もシンプルな飾り気のないものばかり、というIさんのセーターの胸もとに、そのブローチを見つけたのは、女ばかりで集まったクリスマス会でのことでした。
クリスマス会、といっても、ドレスコードは普段着。
教会の集会所に、かんたんな料理をもちよる、ささやかなものですが、気のおけない仲間どうし、食べて、飲んで、おしゃべりするのを毎年楽しみにしています。
年令も、職業も、国籍も、家族構成もばらばらなメンバーの中で、みんなのお母さん的な存在のIさん。
料理をとりわけたり、すみっこの席の人に話をふったり。いつものことながら面倒見のよさを発揮していました。
でも。
いつもと、ちょっとちがう。
なんだろう?
お酒もてつだって、いつもよりはしゃいでいるのはIさんだけではなく、話題の中心になっているわけでもないのに、Iさんを中心に「楽しい気分」が波紋のようにひろがっていたのです。
その波紋を、たどっていった先にみつけたのが、シルバーとパールが、もみの木のかたちに編まれたブローチ。
いつものベージュのセーターの胸元に、そこだけぽっと灯ったキャンドルのようです。
楽しみにしてきたんだなぁ。
おしゃれしてきたんだなぁ。
でかけるまえ、ブローチを留めて、鏡をのぞきこむIさんが、目に浮かびます。
そのブローチからは、Iさんの「ウキウキ」感がにじみでていて、それが周りの私たちにも伝わってくるようでした。
むずかしいことは考えず、楽しい気持ちをそのままあらわした、Iさんの素直なおしゃれごころ。
すがすがしくていいなぁ、とおもいました。
「何を着たらいいかわからない!」
年齢をかさね、ライフスタイルも変化して、じつは、最近おしゃれが楽しくなくなってしまっていた私です。
野の花を摘んで、ブローチにするような。
はじめておしゃれに興味をもちはじめたころの、あの素直な気持ち。
「おしゃれの原点」を思い出したのでした。
*クリスタルメーカーのBaccaratが、毎年出しているクリスマスオーナメントに、ついてくるクリスマスチャリティのピンバッジ。ひっぱりだして、今週末のクリスマスの集まりにつけていこうかな?と思ったりしてます♩