くららの手帖

ローヌの岸辺暮らし、ときどき旅

ブリティッシュ・エアウェイズ。

こんどはいったいどんな、ひどい目にあうのだろう?

ブリティッシュ・エアウェイズに乗るときには、そう思って乗ることにしている。

預け入れ荷物がしょっちゅう行方不明になる、ブリティッシュ・エアウェイズ。

遅延で乗り継ぎできなかったことは数え切れない、ブリティッシュ・エアウェイズ。

大雪で閉鎖されたヒースローで7時間、飲まず、食わず、座れずで立ち往生したのも、ブリティッシュ・エアウェイズ。

そういえばついせんだって、機内で隣席の乗客とトラブルになったのも、ブリティッシュ・エアウェイズだ。

もっとも、乗客どうしのトラブルや大雪は、航空会社のせいとはいえないのだけれど、つまり、そういうものも含めてどういうわけだか、ひどい思い出はブリティッシュ・エアウェイズと共に、、なのだ。

でもだからといってここで言いたいのは「ブリティッシュ・エアウェイズが嫌いだ」ということでは決してない。

むしろその反対で、さんざんな思いをしながらも、なぜだか憎めないブリティッシュ・エアウェイズなのである。

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*とあるトラブルのお詫びにもらったファーストクラスのアメニティ。トラブル処理は百戦錬磨だけあって、アップグレードからクーポンまで、きまぐれに秀逸なところも魅力♪

つくづく「魅力」というのは、摩訶不思議なものだ。

長所がいっぱいある人が魅力的かというと、かならずしもそうではなく、自分によくしてくれる人に魅かれるのか、といえばそれもちがう。

反対に悪いものに抗いがたい魅力をかんじたり、ダメなところが放っておけないなどといって恋におぼれる者もいる。

わたしにとってブリティッシュ・エアウェイズとはつまり、欠点だらけで翻弄されてばかりなのに、なぜか、、というよりそれだからこそ目が離せない異性みたいな存在なのだ。

そういうと、

「それって“憎めない”どころか、”好き”だよね?」

すかさずツッコミをいれてくれた友人がいたけれど。

たしかに。

この限られた文字数の中で、わたしはいったい何度「ブリティッシュ・エアウェイズ」と書けば気がすむというのだろう?

まったく、正気の沙汰ではない。

G-CIVV

ところでブリティッシュといえば、わたしは世界のジョークの中でもブリティッシュ・ジョークが一番好きだ。

 ミスター・ビーン。

 リチャード・カーティスの映画。

 ピーター・メイルのエッセイ。

 コリン・ジョイスのコラム。

真顔でくり出される「皮肉で、不謹慎で、自虐的。ときに人々を困惑させるような英国人のユーモア」を、わたしはこよなく愛している。

そしてじつはこれが、わたしがブリティッシュ・エアウェイズを憎めない、ひとつの理由につながっているわけなのだけれど。

ちょっと想像してみてほしいのだ。

  • ニューヨークで荷物なしの一週間を過ごし、帰国日にようやく出てきたスーツケースを、開けもせずにチェックインしたら、帰りの便でもロストバゲッジになったとき。
  • 大雪のため、滑走路で離陸待ちすること3時間。トイレが壊れて使用できない機内で「(トイレが)どうしてもがまんできない人は手を挙げて!」と機内アナウンスで挙手を求められたとき。
  • 隣席の女性が着席するや否やヒジとヒザをつきだし、わたしの座席の3分の1ほどのスペースを「わが領土である」と、宣戦布告してきたとき。

そう。

これらはすべて「体験型のブリティッシュ・ジョーク」なのだ、と。

冒頭の一文は、こう書きなおすべきなのかもしれない。

こんどはいったい、どんな手で笑わせてくれるのだろう?

ブリティッシュ・エアウェイズに乗るときには、そう思って乗ることにしている。

www.cnn.co.jp

www.cnn.co.jp*ブリティッシュ・エアウェイズの体験型ブリティッシュ・ジョーク二選。とくに先週ヨーロッパをみまった嵐では多くのフライトが遅れたりキャンセルになる中、ブリティッシュだけは、やってくれました!