くららの手帖

ローヌの岸辺暮らし、ときどき旅

スロウなスイス人のスロウな結婚式。寝落ちしてもいいですか?

週も半ばになるのに、週末の寝不足がたたって眠気がとれない。

朝も早よから仕事にでかけた夫には申し訳ないが、平日の昼さがりに気兼ねすることなく昼寝できるというのは主婦の特権である。

この週末は、姪っ子Rちゃんの結婚式に出席するため、チューリッヒ湖畔のラッパーズヴィルという町に出かけていた。

ごくごく親しい友人と家族だけのこじんまりとしたウェディングよ、と聞いていたので、さくっと始まって、さくっと終わるのだろうと油断していたのがまちがいだったのである。

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ヨーロッパ人には珍しく、時間に律儀なスイス人。式は予定どおり14時きっかりにスタートした。が、何事も「Slow」だと揶揄されるスイス人。おひらきになったのは、夜も更けまくった午前2時である。

合計12時間。

式に1時間、アペロに3時間。前菜、メインディッシュ、デザートにそれぞれ2時間ずつかけて、ゆっくりゆっくり進むディナー。なにしろウェディングケーキの入刀が始まったのが午前1時といえば、そのスローさをご想像いただけると思う。

その間、休憩なし。ひたすら、食べて、飲んで、おしゃべりする。司会もなし、式次第もなし。ときおり余興やスピーチがあるのだけど、各人がいきなりなんの脈絡もなくはじめてしまうので、当然、進行はグダグダである。

翻ってみると、お決まりのながれに沿って、チャッチャと進行される日本の披露宴のなんと合理的なことだろう!

スピーチに余興、キャンドルサービスにお色直し、そして両親への花束贈呈。万が一、親戚のおじさんが想定外の長唄を歌いはじめたとしても、きっかり2時間のあいだにおさめてしまうのだから、アッパレとしかいいようがない。

「チャッチャと」とか「サクッと」という言葉はスイス人の辞書にはない。たぶん。

ともあれ、日本式のせっかちなリズム感がしみついている身にとって、このスイスの「スロー」感はけっこうツライものがあり。午前零時をまわるころには、寝落ちしそうな睡魔におそわれていた私である。

常日頃から感じていることだが、概して西洋人は夜更かしに強い。若者だけではなく、老若男女、深夜まで起きていても全然へっちゃらだ。人種による体質のちがいなのか?

国際結婚の日本人妻仲間にきくと、同じように「西洋人の夜更かし問題」をかかえているひとが少なくないということからしても、これは単なる個人差ではないと思っている。

ちなみにその日の出席者は私以外全員西洋人だったが、見渡すかぎり眠そうにしている人はおらず、ふと気になって目をやれば、90歳になる義母でさえ、ワイングラス片手におメメぱっちりなのであった。おそるべきスタミナである。

義母といえば。ブーケトスをキャッチしたコが、すかさず義母にかけより、ひざまずいてブーケをささげる、という一幕があった。

彼女のこの機転には、会場中がおおいに盛り上ったのだが、何よりも一部始終を見守っていたボーイフレンドがちょっと誇らしげにしていたのが印象に残った。

お年寄りだから大切に、だけじゃなく、こうやって女性として敬われるというのは、いくつになっても心ときめくものである。ブーケを手にしたうれしそうな義母の笑顔がそう物語っていた。

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*アペロ会場にはPOLIZEI(警察官)がいっぱい

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 *事件?

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 *警察官をしている新郎のお祝いにかけつけた同僚のみなさんでした!

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 *チャペルを出るとライスシャワーのかわりに、立ち入り禁止テープでアーチが。

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*この日の警察業務が手薄にならなかったことをいのります。 。