くららの手帖

ローヌの岸辺暮らし、ときどき旅

子どもたちのエコなクリスマスデコレーション。ペットボトルとレジ袋と。

さんぽの途中にみつけた、近所の小学校のクリスマスデコレーション。毎年、ちがった趣向で楽しませてくれるのですが、それにしても今年のはとりわけ味があって、おもわず足をとめてしまいました。

校舎をぐるりとかこむ鉄柵のギザギザに、手づくりオーナメントがずらりとならんで、校門の石柱のてっぺんには雪だるまがのっかっています。

ふぞろいだったり、不格好だったり。でもかえってこのゆるくてヘタウマな感じが、ほのぼのしていてあったかくて、とおりかかる人たちの笑顔をさそっていました。

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ふつうサンタといえば赤と白、が定番だとおもいますが、ここのサンタはオレンジに青、黄色とじつにカラフルです。

さすが子どもたち。

既成概念にとらわれない自由な発想がなせる色づかいだわ〜。

などと勝手に感動していたのですが、よくよくみれば、みなれたショップのロゴがちらほら見えかくれしています。

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そう、サンタが着ているのは、近所のスーパーや電気屋さんのレジ袋や包装紙なのでした。

まさかのスポンサーシップはついていないと思いますが、近所の商店街にとっては思わぬ広告効果がありやなしや?ちなみに胴体はペットボトルで、経済的かつとってもエコフレンドリーな飾り付けとなっております。

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この小学校のレモンイエローのクラッシックな校舎は、そうじゃなくてもステキな建物で、小さいころ読んだ「飛ぶ教室」や、プチニコラに出てきそうな校舎。

こんな学校にかよえる子供たちがうらやましい、そうつねづね思っているのですが、この飾り付けのおかげで、クリスマスのあいだはうらやましさも百倍になりそうです。

ところで、スイスの学校の校舎は、この小学校にかぎらずどこもとてもきれいで立派です。ふつうのアパートやオフィスビルはパッとしないものが多い中にあって、ちょっときれいだなと思う建物があればまず学校と思ってまちがいないと言っていいほど。

ここみたいなクラシックなものもあれば、モダンなものもあってスタイルはさまざまですが、ピカピカにメンテナンスされていて、敷地もひろびろ。木々に囲まれた公園の中に立地している学校もあったりしてほんとうにうらやましいかぎりの環境なのです。

そんな環境なので、休み時間になると、いっせいに子どもたちが校庭に飛び出してきて、遊具は鈴なり。寒風ふきすさぶような日でも、元気にのびのびと遊んでいるようすをみることができます。

こどもたちの騒音で近所迷惑、なんてこともないんだろうなぁ。

外であそぶのが大好きなんて、こどもらしくて健康的でいいなぁ。

日本で見聞きする状況とくらべて、スイスはいいなぁ、とただただ感心していたのですが。。先日、小学生のお子さんがいるお母さんとお話していた時のこと、衝撃の事実を知ることになったのでした。

子どもたちは、好きこのんで外で遊んでいるのではなかったのです。学校のきまりで、休み時間は強制的に校舎から出されてしまうのだそう。そしてその理由というのが、校舎内での窃盗やいじめ、性犯罪などのトラブルを防止するためだというので、頭がクラクラ。

なんか、ちょっと、せつない。

校庭で遊んでいる天使のような子どもたちからは、想像も絶するブラックな現実なのでした。

「海外ではコレコレこうで日本より優れてる」みたいに言われることって結構あると思うのですが、表面だけしか見えてなくて、真相は別にあるってこと、じつは多いのかもしれません。

となりの芝生、ですね。

ものごとの良い面を見るようにしよう、というのがモットーのわたしですが、あまり能天気なのもいかがなものか?と考えさせられる一件でした。

冒頭のほのぼのクリスマスデコレーションには、どうか恐ろしい真実が隠されていませんように、といのるばかりです。