くららの手帖

ローヌの岸辺暮らし、ときどき旅

ヨーロッパの冬旅は、ショッピングでセンスをみがく。ミラノのドナテラ・ペリーニでプライスレスなお買い物体験。

母が日本からあそびにきました。

11月はスイスの超オフシーズンだと、何度も忠告したのにもかかわらず、です。

スイス観光のハイシーズンといえば、7月、8月のハイキングシーズンが有名ですが、もうひとつ、12月から3月までのスキーシーズンというヤマがあります。

一方、オフシーズンといえども4、5、6月や9、10月はそこそこ暖かく、高山でのハイキングが目的でなければ、街歩きにはいい季節といえるのです。

けれども、

11月ばかりは煮ても焼いても食えない。

とは、地元スイス人の言。

先日、地元の情報誌が「何月がいちばんきらいか?」というアンケートをやっていたのですが、やっぱりダントツで11月がきらわれておりました。

11月はスイスだけでなく、ヨーロッパ全域がオフシーズン。その分航空券やホテルが安かったりメリットもあるのですが。

日は短いし、雨が多かったり、寒かったりするので、やっぱり景色を楽しんだり、街歩きをたのしむ観光には向きません。

そんな冬のヨーロッパ。

あえて旅するなら大都市にかぎる。が私の持論です。

公共交通機関が充実しているので移動は快適だし、美術館やコンサート、ショッピングなどインドアで楽しめることがたくさんあるから。

地元のひとが街を脱出してしまうバカンスシーズンとちがって、普段の街のかおがみられるから。

というわけで、今回、私たちは、我が家からもっとも近場の大都市であるミラノに、足をのばすことになりました。

さいわいというか、あいにくというか、夫は出張でお留守のため、母娘ふたりの2泊3日ミラノショートトリップです。

はりきって(というよりチケットが格安なので、やむなく)朝5時台の電車で出発したため、早くも9時半にはミラノ中央駅に降り立った私たち。

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くもり空の午前中いっぱいは、ブレラ美術館でのんびりすごし、太陽が顔をのぞかせはじめた午後からは、モンテナポレオーネでショッピングです。

まずは、私がどうしても行きたかった、ドナテラ・ペリーニへ。お目当ては、おおぶりなチョーカー。マダムがじゃらっとシャツにつけてるみたいなやつです。

最初に気になった、スモーキーピンクとブラウンのものは、つけてみると顔映りがわるくてがっかり。他にもいくつか試してみたのですが、しっくりくるものがなく。

すると、店員さんが「きっとあなたの肌・髪・目の色に合うと思う」と淡水パールと茶系のナチュラルストーンを三連に連ねたチョーカーを出してくれました。

ショーケースにあったときには、ずいぶん地味な色合いにみえたのですが。

つけたとたん、顔まわりがパッと明るくなったのがわかりました。

日本にいると、あまり意識することのない自分の肌、目、髪の色。海外に出るといやでも意識せざるをえません。似合う、似合わない、をはっきりとつきつけられるので、選択肢はせばまるのですが、そのぶん失敗も減るような気がします。

たとえば、髪をまとめるヘアクリップ。

いまはブラックかダークブラウンしか使いません。

スイスに住みはじめて間もないころ、ショップで「わぁきれい」と思って、ミルクティ色のものを手にとったら、店員さんにはげしく却下されたことがあったのです。

「あなたには、絶対ブラックかダークブラウン」

そして全身を鏡に映してみせてくれたのですが、ちがいは歴然。

ミルクティ色のものは、淡い栗色やブロンドの髪につけてこそ美しく、私の黒髪だと明らかにお互いの良さを台無しにしてるのがよくわかりました。

好きかきらいか、で買い物するのもいいけれど、似合うか似合わないかを客観的にシビアにジャッジしてくれる店員さんというのは、頼もしいものです。

そういう店員さんのいるお店での買い物は、ただの買い物で終わりません。自分に似合うものを知り、センスを磨くレッスンにもなる。だからネットショッピングだけでなくたまにはこうして「ちゃんとお買い物する」って大事です。

さて、ドナテラ・ペリーニでも、店員さんの的確なアドバイスをいただいて、私にぴったりのチョーカーを選ぶことができました。

かすかにピンクの混じった淡水パールの甘さに、ビターなエスプレッソ色の石のグラデーションがミラノのイメージ。とろりと溶け出しそうなまろやかな型のパーツが、デコルテにやさしく沿ってくれるのです。

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*一連のチョーカーやピアスが100〜150ユーロくらい。今おもえばおそろいのピアスも買っておけばよかったと、ちょっと後悔。

せっかくなので、お会計をすませた後、奥の部屋もゆっくりみせてもらうことにしました。お買い物モードがスイッチオフされてみると、シンプルに商品を作品としてみることができます。

それはちょっとした美術館を訪れているような感覚でした。

ドナテラ・ペリーニ独特のナチュラルストーンの微妙な色のグラデーションや、温かみをかんじるいびつなシェイプは、鑑賞するだけでも美意識を刺激され、たっぷり目の保養になったのでした。

女性にとってこういうお買い物にまつわる経験は、まさにプライスレス。

こういうのってやっぱり女どうしが楽しいよね。そんなことをつぶやきながら、モンテナポレオーネを次なる店へとミラノマダム気分で闊歩する母と娘でした。

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*早朝のドゥオモ広場は人影まばら。このあと昼過ぎに行ったら長蛇の列で入場まで1時間以上待ちました。しかもチケット(2ユーロ)が必要だと知らず、チケットオフィスに走って30分ならぶはめに。以前は、待ち時間もなかったし無料だった気がするのですが。。ドゥオモは早朝がおすすめです。