何もしないですごす休日が、一番ぜいたく。
わたしの周りのスイス人は口をそろえてそう言います。
しずかに本を読んですごす、とか
ゆっくり料理をする、とか
一日中ぼーっと景色をながめてすごす、とか
ただ近所を散歩する、とか。
でも私、この「何もしない(地味な)休日」がじつはちょっと苦手です。
徐々にその良さもわかってきてはいるものの、あまりの地味さに耐えがたく思われることもしばしば。
いつになったらこのスイス式休日の過ごし方を、心の底から楽しめるようになるのだろうか?いや、そんな日は来るのだろうか?そんなことを思いながらむかえるスイス生活5年目の春です。
さて、静かな暮らしを求めたオードリー・ヘップバーンが、後半生をすごしたのは、レマン湖畔の小さな村トロシュナ。
そのトロシュナにほどちかいモルジュは、いまチューリップが満開です。
ただ、花を見て歩く人。
サイクリングする人。
ぼーっと景色を眺める人。
犬とまったりする人。
湖にヨットを浮かべる人。
スイスの屋台フードの定番「Kalbs Brat Wurst」(子牛のバーベキューソーセージ)を食べる人。
とまぁ、外出に乗り気じゃない夫(何もしない休日、をこよなく愛すスイス人代表)をやっとのことで「おでかけ」モードに持ち込みやってきたモルジュですが、そこにあるのもまた人々の「静かな休日」なのでした。
空が青い、花がきれい、山や湖が美しい、食べ物が美味しい。
誰にも邪魔されず静かに好きなことができる。
家族や友達といっしょにすごせる。
どれも一見何でもないようでいて、ぜいたくなことなのかもしれません。
オードリーもよく買い物に来たという商店街を歩きながら、彼女が愛した「静かな暮らし」に思いをはせる「モルジュの休日」なのでした。
*映画館の前に止まっていた、古いFIATのチンクエチェント。なんか絵になる♪
*オードリー行きつけのチーズ屋さんのある道から。路地に切り取られてのぞくレマン湖がドラマティックです。