くららの手帖

ローヌの岸辺暮らし、ときどき旅

パリソルド、まぼろしのナイトガウン

「フランス人は10着しか服をもたない」の中で、アメリカ人の著者ジェニファーが、パジャマがわりに着ていた穴のあいたスウェットパンツに、フランス人のマダムシックがギョッとする、というくだりがあります。

フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質

フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~

 

じつは、私も結婚したばかりの頃、ナイキのジャージを着て寝ていたら、みかねた夫(スイス人)がパジャマを買って帰ってきた、という苦い思い出があります。

そのとき、夫が買ってきたパジャマは、ジェニファーがあわててエタムに買いに走ったのとおなじ、ボタンダウンのパジャマ。

このたび、その夫が「せっかくパリでショッピングするなら、ナイトガウンをチェックしてみたら?」というのです。

ナイトガウン。もしくは、ナイトドレス。ちょっと耳慣れないことばですが、映画「裏窓」でグレース・ケリーが着ているコレです。

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パーティに着ていけそうなイブニングドレスに見えますが、いわゆる「寝間着」なのですよね。

え?イマドキこんなもの着て寝ているひとっているの?というか、、、これ私が着るの?正直ひるんだのですが、おりしもパリはソルドの季節です。

何事も勉強、見るだけでも見てみるか、となりました。

むかったのは、左岸マダムご用達の老舗デパート「ボンマルシェ」にある高級下着ブランドのラペルラです。

グレース・ケリーがみたいなナイトガウンが、ずらっとハンガーに掛かっていました。

 

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PHOTO: ラペルラ

私にはどう見てもイブニングドレスにしか見えません。が、「寝るときに着るナイトガウンでございます」と店員さん。

すすめられるがまま試着してみたのですが、自分でも吹き出しそうになるほど、おそろしくミスマッチな絵面が、鏡の中にうつしだされました。

「短いタイプはいかがですか?」

すかさず差し出されたのは、いわゆるスリップでした。

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PHOTO: ラペルラ, オーバドゥ

「フランス人は〜」の著者ジェニファーが、エタムで買ったもうひとつのナイトウェアがこのタイプだったかと。。

身につけてみると、ロングのものにくらべれば、まんざらでもありません。

シルクのなめらかな肌触りと、繊細なレースは女ごころをそそります。ナイトガウンほどではないにしても、ボタンダウンのパジャマの何倍もロマンティックです。

ええ、たしかに、ステキなのです。

が、いかんせん、パジャマのすそをパンツにしまって寝るほど冷え性のわたし。こんな薄着で寝たら、イッパツで風邪をひくにちがいありません。

残念ですが、とお礼をいって、試着室を出ようとしたときです。

ちょうど鏡の前でロングのナイトガウンを試着中のマダムが目に入りました。

ゆうに180cmを超える長身に、わたしの二倍はありそうな肩幅、ミロのヴィーナスみたいなボリューム感のマダムに、そのナイトガウンは、ため息がでるほどフィットしていたのです。

うぅ、くやしいけどサマになっておる。。(体温も相当高そう)

こんなナイトガウンを着て寝ているひとが、じっさい世の中に存在するのです!

正直この瞬間まで半信半疑だったのですが、そんな事実を、目の当たりにすることができたのでした。勉強になりました。

 《パリ覚え書き》パリソルド

かくして、夫による私の「ナイトガウンデビュー計画」は、あえなくまぼろしと化したのですが、手ぶらで帰るには魅力的すぎるパリソルド。

冷え性のわたしに、ぴったりの春夏用のブーツをみつけました!

日本だとクロップトパンツに素足で足首を見せたりできるのですが、ヨーロッパは夏でも寒すぎることがあって、ずーっと春夏にはけるアンクルブーツを探していたのです。

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サルトルにて。30%オフで約350ユーロ。さらに免税で8%くらい戻ってきます。

それから、ヴィンテージのビーズ。

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地味ですが、パリソルドの戦利品は、以上!

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@メルシー

あとは、セレクトショップのメルシーやコレットでオシャレさんたちを観察したり、ディスプレイが可愛い路面店にふらりと入ってみたり。

そういえば、若いひと向け?と思われるブランドで、お年を召されたマダムがお買い物しているのをけっこう見かけました。

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@Rue de Bacの洋服屋さん

誰向けかなんて気にしないで、どんどん着てみる。好きか嫌いか、似合ってるか似合ってないか。その攻めの姿勢がかっこいい、と思います。