クリスマスカードを出そうとしたら、案のじょう、買いおきしてあるはずの切手が、どこにもみあたらない。
なんだか、毎年、おなじことを繰りかえしているような気がするのは、思いすごしだろうか?
それはともかく。。
クリスマス直前の郵便局なんて、大混雑にちがいなく、想像するだけで気がめいる。
なんとか回避する方法はないものか、ちょっと調べてみたところ、なんと、SMSで切手が買えるのだ。
まず、STAMPというメッセージを、SMSでスイス郵便に送る。
すると、数字とアルファベットのコードが送られてくる。
そのコードを、手書きで封筒に書くと、それが切手になるというしくみ。
(PHOTO by SWISS POST)
電子チケットに、セルフレジ、世の中はますます便利になるばかりだけど、ついにSMS切手かぁ。
ちょっと感動してしまった。
感動しておきながら、けっきょく「クリスマスカードだから、きれいな絵柄の切手がいい」といいはる夫におしきられ、郵便局の長蛇の列にならぶことにはなったのだけれど。
技術の、世の中の進歩には、目をみはるばかりである。
そのぶん、世の中がどんどん味気なくなっていく気もするのだが「非効率で、ローテクで、不便だけど、気持ちを豊かにしてくれるもの」は、なかなか簡単には消えてなくならないのだろう。
夫のようなひとがいるかぎり。
「バスチヨン公園には、もう行った?」
十二月にはいってからというもの、会う人、会う人にきかれた、話題のクリスマスマーケット。
クリスマスカードをぶじ投函したその足で、のぞいてみた。
ホットワインや、ソーセージ、伝統的なクリスマス菓子を売る屋台に混じって、手工芸品を売る小屋がならぶとおりを歩くと、暗くなりはじめた空に、やさしいオレンジ色の灯りの連なりが、ぼぉっと浮かぶ。
サンタクロースに、プレゼントのお願いをするこどもたちや、特設のシャレーでチーズフォンデュを楽しむひとたち。ちいさなスケートリンクでスケートをする家族連れやカップルを、ただただながめて歩くだけ。
何を買うでもなく、さがすでもなく、目的もなくぶらぶらするだけ。
「クリスマスマーケットといえば!」の伝統菓子MAGEN BROT(胃袋パン、という変な名前の、かりんとうみたいなお菓子)をかじりながら、通りをいったりきたりするだけ。
それだけだったけれど、幸せなきもちになった。
そして、おもったのだった。
世の中がどんなに便利で、効率的で、ハイテクになったとしても、クリスマスは消えてなくならないだろう、と。
メリークリスマス!