さばすたいる

スイス暮らしと旅のエッセイ

二十年ぶりのショート

クリスマス・イブに髪を切った。

二十年ぶりのショートヘアだ。

「おーっ、だいぶ若返ったねぇ」

日本の実家にスカイプすると、父が言う。

「そうお〜? そんなことないと思うけど〜♪」

なんて、うっかり喜びをにじませた、わたしがバカだった。

てっきり二十歳ぐらい若返ってみえたのかと思ったら、

「うん。三歳ぐらいね。いひひ」

だと。

それはともかく。

なぜショートヘアにしたのか?といえば、それは「年齢による髪質の変化」というつまらない、しかし切実な理由からである。

もっとハッキリいってしまうと、ほんとうはセミロングぐらいあったほうが、少々お手入れを怠ってもまとめられるので楽だったのだけど、あんまり毎日ひっつめていたらなんだか生え際が心許なくなってきたからなのだ。

いやはや、女子高生だったころには「剛毛連盟」に名を連ねていたあのわたしが、まさか薄毛を気にする日がくるだなんて。いったい、だれが想像することができただろう?

夜、自分の毛先が顔に刺さって目が覚めた、という逸話の持ち主のクミちゃん。

毎晩ボリュームを抑えるため、毛糸の帽子をかぶって寝ていた、ゆかちゃん。

黒い、太い、硬い、多い。

四拍子そろったわたしたち「剛毛連盟」のメンバーは、同級生の生まれつき茶色くてさらさらな髪に恋い焦がれており、年がら年じゅう、髪の毛のおさまりがよくなる「剛毛用シャンプー」の話ばかりしていた。

連盟の活動といえばそれぐらいのものだったが、その結束力といえばなかなか大したもので、卒業してしばらくしてからも同窓会で再会するたび、結局最後は「剛毛用シャンプー」の話になってしまうのだった。

「いつまでシャンプーの話、してんだろうねー。わたしたち」

そう笑い合ったのは、昨日のことのように思われる。いつまでも「剛毛用シャンプー」の話ができる、と信じて疑わなかったあの若き傲慢な日々はしかし、遠い昔のことになってしまったようである。

クミちゃんとも、ゆかちゃんとも、しばらく会っていない。

いまでも、剛毛に悩んでいるだろうか?

それとも。

久しぶりに連絡をとってみよう、とおもう2021年のはじまりである。

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*子どものはしゃぐ声が聞こえて、窓のそとをみたら雪が。積もるほどの雪は、この冬はじめて♪

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*近所の幼稚園の子どもたち。