だしてあったクリーニングをとりにいった。
入り口で声をかけるとしばらくして、パステルカラーのシャツの森から顔をのぞかせたのは、いつものなじみの店員さんだった。
あ。
選手交代。
彼女のトースト色に日焼けした顔は、夏がおわり、街が「通常オペレーション」にもどったことを、わたしに教えてくれた。
ヨーロッパの街がおおかたそうであるように、住人たちがいっせいにバカンスにでかけてしまう夏のジュネーブは、いつもとちがう顔になる。
道行くひとが、地元のひとから、中東の避暑客にとってかわられるだけではない。
パン屋さん、レストランのウェイトレス、アパートの管理人さん。
なじみの顔がいっせいに消え、かわりに「夏休み要員」が投入される。
バスの本数もガクンと減り、営業時間を短縮する店や、なかには夏のあいだまるまる閉店してしまう店もある。
街ぜんたいが、気持ちいいくらいいさぎよく「夏休みオペレーション」に切りかわる。
そのいさぎよいことといったら、いつだったか、なじみのレストランでいつもの料理を注文したらぜんぜん味がちがうので、確認すると厨房スタッフがまるごと夏休み要員だったことも。。
二週間ほど前、クリーニングを出しにきたとき受付けてくれた女性も、その「夏休み要員」であった。
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