くららの手帖

ローヌの岸辺暮らし、ときどき旅

2016-01-01から1年間の記事一覧

ベルン、とある冬の日曜日の風景。未知なるスイスをもとめて。

二泊三日の母娘ミラノショートトリップ。せっかくなので帰り道はベルンで途中下車することにしました。 せっかくスイスの娘をたずねてきたのに、スイスを全く観光しないのもナンですし。 しかし、冬のオフシーズン、しかも日曜日、という二重苦のベルンです…

ミラノで発見!路地裏リストランテ。ガイドブックに頼らないレストランさがし

母がどうしても見たい!というので、予約して朝イチで見にいった「最後の晩餐」。 「人生の最後になにを食べたいか?」 そうきかれると、おあそびと承知の上でも、妙に真剣にかんがえてしまうのはなぜでしょう? 同様に「旅先で何を食べるか?」というのも、…

ヨーロッパの冬旅は、ショッピングでセンスをみがく。ミラノのドナテラ・ペリーニでプライスレスなお買い物体験。

母が日本からあそびにきました。 11月はスイスの超オフシーズンだと、何度も忠告したのにもかかわらず、です。 スイス観光のハイシーズンといえば、7月、8月のハイキングシーズンが有名ですが、もうひとつ、12月から3月までのスキーシーズンというヤマがあり…

子どもたちのエコなクリスマスデコレーション。ペットボトルとレジ袋と。

さんぽの途中にみつけた、近所の小学校のクリスマスデコレーション。毎年、ちがった趣向で楽しませてくれるのですが、それにしても今年のはとりわけ味があって、おもわず足をとめてしまいました。 校舎をぐるりとかこむ鉄柵のギザギザに、手づくりオーナメン…

ぶどう畑のオトナ婚。熟成されたカップル&スイスワインでほろ酔い気分

スイス・レマン湖沿いの葡萄畑ラヴォーにあるちいさな教会で、50代の友人カップルが結婚式を挙げた。ともに再婚、おたがいの子供たちも参列しての「オトナ婚」である。 新郎は、グローバルにビジネスを展開するエリート。自家用飛行機やワイナリーを所有し…

レーティッシュ鉄道の車窓から、鉄子の血がさわぐ。山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(10)

トラブルというのは、いつだって「よりによって」という時と場所でおきるモノである。 アローザでの一週間のトレッキングウィークも最終日。帰宅の途についた私たちの車のエンジンが停止したのは、スイス西端にある自宅から450kmはなれた、スイス東端の山中…

ワルサーさんの同窓会。山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(9)

朝、ホテルのロビーで、民族衣装をきたこどもたちとすれちがった。あまりにかわいらしくて目をうばわれていると、フロントの男性が言った。 「きょうは、アローザでワルサーの同窓会があるんですよ」 ワルサー?耳慣れないことばにとまどっていると、 「じつ…

見た目にだまされた、ゴージャスな一日。山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(8)

人は見ためによらずというけれど、山は登ってみなければわからない。 Setaという小山にはすっかりだまされた。 この日歩いたのは、Langwies(1377m)からBlackter Fürggli (2141m)まで、800m登って800mくだる、10kmを4時間かけてあるくというコース。 La…

雲のうえには何がある?山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(7)

今日はヴァイスホルン(Weisshorn)山頂の展望台に行ってみようという。 空はぶあつい雲におおわれ、山はたちこめる霧につつまれているというのにだ。 こんな日に展望台?と顔に書いてあるわたしをみて、夫がいった。 「雲がひくいから、きっと山頂は快晴だ…

マーモットクリームに、バンビステーキ?山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(6)

トレッキングメンバーのひとり、モントレーは動物さがしの名人だ。 「あ、あそこ」 小さくささやき、モントレーが立ち止まると、その視線のさきに動物がいる。それはまるで魔法か手品をみているかのようで、わたしは動物がみたくていつもモントレーにぴった…

干し草ベッドの非情なる現実。山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(5)

「グリュッツィ」(こんにちは) ひときわ古くて美しい民家。窓辺のゼラニウムに目をうばわれ、写真をとっていたら、玄関からおかっぱ頭の女性が顔をのぞかせ声をかけてくれた。 「まだやってますよ、よかったらどうぞ」 ひとなつこい笑顔につられて、おじゃ…

ハダカのおつきあい、にカルチャーショック。山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(4)

郷に入れば郷にしたがえ、とはいうけれども、サウナに入れば全裸になれ、という地元ルールには、さすがの私もいっしゅんひるんでしまった。 ホテルクルムアローザには、谷に面して全面ガラス張りのステキなスパエリアがある。上階にジャグジーもそなえた大き…

アルプスの少女(?)ミリアムの山小屋。山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(3)

アローザの谷をへだてて反対側に、ミリアムの山小屋はある。 「ちょうど、アプリコットケーキが焼きあがるわよ」 注文をとりにきたミリアムがいう。あまくてこうばしい香りがキッチンから漂ってくるのにきづくと、きゅうにお腹が空いてきた。 お茶のじかんと…

神秘的な雨の森で癒しのウォーキング&毒キノコ狩り。山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(2)

翌朝、目を覚ますと、そとは雨が降っていた。天気予報によると、最高気温6℃、最低1℃らしい。雲なのか霧なのか境目のはっきりしないもやの中に、向こう側に見えるはずの山もかすんでみえない。 こりゃ、今日はトレッキングはキャンセルかな?ホテルで1日のん…

名物トレッキングガイド・ハンスとの再会。山岳リゾート・アローザですごすスイスの秋(1)

9月末は、スイスの夏が終わりをつげる季節だ。夏のあいだフル回転で営業してきた山岳リゾートのホテルも、冬のスキーシーズンまでいったん店じまいするところが多い。 9月下旬になると、つめたい雨とともにストンと気温がさがり、空気がすっかり入れ替わった…

ストーリーあるモノのチカラ。大伯母の古時計のルーツをたどるショートトリップ。

ウォーキングの途中、ローヌ川から丘にのぼる坂道で、ある朝、ヨボヨボのおじいさんをみかけた。 ゆっくり、ゆっくり一歩ずつ。アディダスのブルーのジョギングパンツから伸びた脚は、夏の終わりだというのにすきとおるように白くて細く、カラフルなスポーツ…

チューリッヒ湖に浮かぶミステリアスなお城。ラッパーズヴィルで「ジャーニー」する

前回おはなしした、姪っ子Rちゃんのスロウすぎる結婚式。すっかり書きそびれたのが、二人が結婚式を挙げたチューリッヒ湖畔のちいさな街ラッパーズヴィルのこと。 新郎のC君がうまれ育った街であり、C君はここの警察官、Rちゃんは薬剤師として薬局を経営して…

スロウなスイス人のスロウな結婚式。寝落ちしてもいいですか?

週も半ばになるのに、週末の寝不足がたたって眠気がとれない。 朝も早よから仕事にでかけた夫には申し訳ないが、平日の昼さがりに気兼ねすることなく昼寝できるというのは主婦の特権である。 この週末は、姪っ子Rちゃんの結婚式に出席するため、チューリッヒ…

「小枝」のルーツ、スイスにあり?ノスタルジーは大人のあじわい。

日本にいる家族から、スイスのお土産にたのまれるものといえば、チョコレート、チーズ、スイスワインが定番だが、なかでも甥っ子たちに人気なのが「ジャンボ小枝」(甥っ子たちが命名)である。 日本の「小枝」を大人の指ぐらいの大きさにしたチョコレート、…

包む文化vs包まない文化。かざらないひとびとが愛する「スイスの国民的バッグ」とは?

夏休み。街を脱出するバカンス組がいるいっぽうで、あえて夏は街で過ごすというひとびとも少なくない。 とくに学校にかよう子供がいない家庭では、子供の夏休みにスケジュールを合わせる必要もないので、バカンスは季節をずらして安くゆったりすごす派がおお…

靴箱でモジュール化?海外旅行スーツケースのパッキング術。

バーゲンで狙っていたエスパドリーユ。なんと、奇跡的に私のサイズが残っていたのですかさず購入した。 石畳のヨーロッパの街でも、エスパドリーユならヒールが高くても楽々歩けるので、夏は毎日エスパドリーユを履いている。愛用していたものが、ちょっとく…

アメリカンなぽっちゃり姉妹とモンブラン(ケーキじゃなくて山のほう)

その姿を見ると、縁起がいいような、ラッキーなような、思わずしあわせな気分になってしまう山といえば、日本では富士山だったが、スイスにきてからはモンブランである。 ジュネーブからレマン湖をはさんだフランス領、80kmの距離にあるモンブラン。天気が…

マダムかムッシューか、それが問題だ。

お母さん、お姉さん、おばさん、奥さん‥。女性の呼び方はいろいろあれど、マダム、と呼ばれるのは気持ちのいいものである。 はじめは、マダムという言葉のひびきに、なんだか特別ステキな大人の女性として認められたような気がしてうれしかったものだが、そ…

女子力より「ママン」力。カトリーヌ・ドヌーヴに学ぶ、大人の女の底力。

女子力、女子力、とお経のように耳元で唱えられた30代。柄にもないフェミニンな格好をしてみたり、女らしい習い事をしてみたり、美容に大枚つぎこんだり、思えば大変な時代であった。 女子力(じょしりょく 英語: women's power[1])は、輝いた生き方をして…

ところ変われば、おやつも変わる。

先日、トラムに乗ったら、きれいな女の人が、チコリをむしゃむしゃと食べはじめたのでびっくりした。 チコリ、というのは英語名で、フランス語だとアンディーブ。ちょっと苦味のある、小さな青梗菜のような、白菜のような野菜で、ハムで巻いてチーズをかけて…

本当のところ、と女ごころ。

女どうし、もりあがる会話ネタといえば、美容法や健康法。 けれども、次から次へ新しい説が出てきて、昔の常識が、いま非常識、ということも多く、何を信じていいのやら、さっぱりわからない。 わたしが子供のころは、日焼けは健康優良児のしるしなどといわ…

冷たい温泉がおしえてくれた、期待しないでハッピーになる方法。

なにごとにも期待しなければ、心穏やかに日々を暮らせます、とお坊さんの本で読んで、なるほどと思ったのだけれど、実践するのはなかなかむずかしい。 友達なら心配してくれるはず、彼氏なら即レスくれるはず、母親なら喜んでくれるはず、というような人間関…

やわらかな水の国、ニッポン。京都町家で暮らす一ヶ月

雨が屋根をたたく音で目が覚めた。木造家屋は、外の空気をかんじられるのがいい。 気密性のたかい鉄筋コンクリートは、防音や断熱に優れていてとても住み心地がよいけれど、こういう情緒を感じられるのはやはり木造家屋だ。 夫は昨晩の夜更かしがたたったか…

安くてもたのしいモノ。宇治の骨董屋で「夢を買う」。京都町家で暮らす一ヶ月

宇治のお寺の参道にあるちいさな骨董屋の、戸棚にひとつだけちょこんとならべられていた染付のそばちょこ。 他のものを購入して、さぁ帰ろうとふり向いたとき、ふと目が合ってしまったのだ。 灰色がかった落ち着いた白地に、スモーキーな藍色のやわらかな筆…

居ごこちのよい本屋さんはもう一つのリビングルーム。京都岡崎・蔦屋書店。京都町家で暮らす一ヶ月

住む場所をさがすとき、近所にあるといいな、と思うもの。 コンビニ、おいしいパン屋さん、クリーニング店、新鮮な食材を売るスーパーマーケット。それから、ぶらりと歩きに出られる散歩道、のどかな公園。図書館。趣味のいい本屋さん。人目を気にせずぼーっ…