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SABAすたいる

スイスのくらし、旅のエッセイ、日々のできごと、おもうこと。

マダムかムッシューか、それが問題だ。

スイスのくらし ライフスタイル 外国語

お母さん、お姉さん、おばさん、奥さん‥。女性の呼び方はいろいろあれど、マダム、と呼ばれるのは気持ちのいいものである。

はじめは、マダムという言葉のひびきに、なんだか特別ステキな大人の女性として認められたような気がしてうれしかったものだが、そのうち「女の子以外はみんなマダム」と呼ばれることに気づいた。

日焼けした肌にゴールドのチョーカーが迫力のマダムや、麗しくセットされたアップスタイルヘアに真紅のマニキュアでマカロンをつまむスイートなマダムだけではない。

くたびれたTシャツにくっきり二段バラがくいこんでいるおばさんも、寝ぐせのついたぼさぼさ頭にすっぴん&ジャージスタイルの主婦も、一定の年齢以上の女性はみーんなマダムと呼んでもらえるのだ。

というわけで、海外で「マダム」と呼ばれたからといって、特別な意味はないわけなのだが、それはそれとして、女性の呼び方として「マダム」というのはとても便利なものである。

子供もいないのに「お母さん」、シングルなのに「奥さん」などと呼ばれて気まずい思いをしなくてすむし、中高年の女性に「お嬢さん」などと気をつかう必要もない。

相手の属性を気にせず、何かといえば、マダム、とくっつけておけば間違いないのだから。(ちなみに男性の場合は、ムッシューである)

 こんにちは、マダム。

 さようなら、ムッシュー。

 ありがとう、マダム。

 ムッシュー、お先にどうぞ。

 マダム、ハンカチを落としましたよ。

といった具合に。

マダム、ムッシュー、をくっつけるだけで、なんだか丁寧な感じがするし、印象もよくなる。ただ、こんにちは、と言われるより、大切にされているような気がするし、「すみません」と呼び止めるより、スマートなかんじがするのだから、これはもう使うしかない、ということになる。

それで日頃、何かといえば「マダム」「ムッシュー」を連発しているわたしなのだけれど。。

先日、歯医者さんに出かけた時のこと。

定期検診の結果、治療が必要となった。

歯医者さんは、中年の気のいいおじさんで、

「ここの詰め物がね、古くなって隙間ができてきてるから」

と、レントゲンを見せながらていねいに説明してくれた。

「来週、同じ曜日の13時から来られますか?」

次回の日時を決めると、先生は出口まで見送ってくれた。

「今日はありがとうございました。ムッシュー」

ニッコリ笑顔で、先生と握手をかわす私。

先生もニッコリ。

そして言った。

 PAS MONSIEUR MAIS MADAME.(ムッシューじゃなくてマダムよ)

マダムもムッシューも便利な呼び方であることは間違いない。

問題は「マダムかムッシューか」。

そのみきわめは、とても重要なのであった。。

madame

*歯医者さんの次回の予約は、今週の水曜日です。先生が怒ってませんように。。