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SABAすたいる

スイスのくらし、旅のエッセイ、日々のできごと、おもうこと。

チューリッヒ湖に浮かぶミステリアスなお城。ラッパーズヴィルで「ジャーニー」する

スイスのくらし ライフスタイル

前回おはなしした、姪っ子Rちゃんのスロウすぎる結婚式。すっかり書きそびれたのが、二人が結婚式を挙げたチューリッヒ湖畔のちいさな街ラッパーズヴィルのこと。

新郎のC君がうまれ育った街であり、C君はここの警察官、Rちゃんは薬剤師として薬局を経営している。

こんなところで新婚生活なんてうらやましい!と思わずさけびたくなるほど、このラッパーズヴィルは、おとぎ話にでてくるような美しくてかわいい街である。

教会での式のあと、一行がむかったのは、丘の上のレストラン、ガストホフ・フロベルク。駅からは車で10分かからない。駐車場から前庭にひろがるテラス席のほうに歩いて行くと、いっきに眺望がひらけておもわず息をのむ。

このレストランからは、チューリッヒ湖に半島のように突き出したラッパーズヴィルの街全体が一望できるのだ。

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ヨーロッパの夏は日が長い。木陰のソファにこしかけて、シャンパンのグラスをかたむけると、湖からのすずしい風がほてったほほに心地いい。そしてディナーがスタートするころになると、あたり一面がチューリッヒ湖に沈む夕陽色に染まり、一変してロマンティックな雰囲気につつまれる。

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Gasthof Frohberg: Feines Essen und grandiose Weitsicht - Gasthof Frohberg

ざんねんながら日が暮れてしまうと見るべき夜景もないので、やはり周囲がまだ明るい夕方から夕暮れどきにかけてが、景色をたのしむ時間帯としてはベストなのだと思う。

ちなみにレストランにはホテルも併設されていて、ウェディングのゲストの中にはこのままここに宿泊するという人もいてちょっとうらやましかった。こんなテラスで、朝のすがすがしい空気の中いただく朝食というのもまた格別だろう。

ところで、ラッパーズヴィルの街のシンボルとも言えるのが、まるで湖に浮かんでいるようにみえる小さなお城である。

この景色をみた瞬間、おもわず「ジャーニーのお城だ!」とうれしくなってしまった私。

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「ジャーニー」というのは、ひとりぼっちで寂しい女の子が想像の世界を旅する文字のない絵本。絵本の中で女の子が冒険するちょっと幻想的なお城のイメージがかさなってみえたのだった。

ジャーニー 女の子とまほうのマーカー (講談社の翻訳絵本)

ひらくと薄暗い映写室でカタカタと映写機がまわる8ミリの映像を見ているような気分になる。文字がないこともあって、イマジネーションがかきたてられる絵本でもあり、絵の繊細なタッチや、印象的な色づかい、異国情緒が入り混じった不思議な世界観。ざわざわした現実のノイズをシャットアウトしたいときにひらきたくなる絵本だ。

おなじようにどこかミステリアスなラッパーズヴィルのお城。

あそこに行きたい!

こころ惹かれるものをかんじて、翌日、旧市街を歩いてみることにした。

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 ラッパーズヴィルは「バラの街」と呼ばれている。市内には600種類、二万株以上のバラが植わっていて、5月から10月までのあいだは街をあるけばどこからかバラのかおりが漂ってくる。旧市街を歩いていると、バラのポプリや香水などの専門店もちらほら。お城にいく途中にあったのが、Capuchin修道院のバラ園だ。

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夜半にふった雨のしずくがきらめき、水気を含んだフレッシュなバラの香りが鼻をくすぐる。修道院はざんねんながらお昼休みでしまっていたのだけれど、開いていればキャンドルなどを販売するショップやカフェでひと休みすることもできるそうだ。

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バラ園のとなりには、長い歴史あるワイン用のぶどう畑がひろがる。収穫を目前にひかえたぶどうの実がたわわに実っていた。この畑のぶどうはピノノワール

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バラ園からお城にのぼっていく坂道の途中からは、スイスで一番長い木の橋が見える。手前を自動車用の橋がはしっているのでちょっと見えにくいけれど、もともとのオリジナルの橋は数百年前に中央・東ヨーロッパとスペインのサンチャゴデコンポステラを結ぶ、巡礼のための道の一部としてつくられた。全長841メートルの橋である。

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地元のひとには散歩に人気の場所だというのもうなづける。

Saturday at Rapperswil

さらに坂を登って行くと、お目当てのラッパーズヴィル城に到着。中はポーランド博物館になっていてキュリー夫人などゆかりの展示物を見学できる。

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どうしてこんなところにポーランド博物館?と不思議に思えば、1830年の武装蜂起のとき亡命してきたポーランド人がココのお城に住んでいて、博物館と図書館をつくったのだとか。図書館にはいまでも世界中からポーランドの本が寄贈されているそうだ。

こうした巡礼の道、ポーランド博物館のほかにも、ハプスブルク家やナポレオンに支配されるなど、ヨーロッパの交通の要所でもあったラッパーズヴィルは、そこここに歴史の変遷のあとがみられる。

いろんな人が通りすぎ、住みつき、歴史が交差してきた街だからこそ、ほかにはない不思議な雰囲気をかもし出しているのかもしれない。

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お城から旧市街の広場におりていく道は、ガーデニングの緑がいっぱい。アパートの小窓に猫用のスロープを見つけて、ほのぼのした気分になったり。ちょっとしたベンチの脇にもバラの鉢があって香りに癒されつつひと休みしたり。

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物騒なことのおおい世の中だけれど、ピースフルな空気に満ちていたラッパーズヴィルの街。

「ジャーニー」の女の子さながら、ふしぎな歴史の街を探訪できた一日だったのでした。

*日曜日でもいくつかの専門店が店をひらいており、ドライブのお供にスイーツを調達。ウルスリレーベルのアップルサイダーとスイスの月餅。

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*そして、ミルクキャラメル。舌にのせてしばらくするとホロホロっと溶けてなくなります。パッケージには「ベッドのお供」といった意味のことが書いてあるみたいですが、虫歯が心配。

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*ラッパーズヴィルの詳しい情報はこちらからどうぞ。

ラッパーズヴィル観光局HP(英語)http://www.vvrj.ch/en/